ヨーロッパの歴史風景 近代・現代編




西暦 1843年、ドイツの作曲家ワーグナーがドレスデンのゼンパー・オペラの指揮者となった。


ドイツの作曲家ワーグナー

ドイツの作曲家 ・・・ といえば、ベートーヴェン、モーツァルト、ヘンデル、シューマン、バッハ ・・・ 。主だった名前を挙げるだけでも数え切れないよね。でも、楽劇といえば、ワーグナーと言えるんだそうな。但し、「楽劇」って何かという疑問については回答不能。他に適したサイトがあるでしょ。

ワーグナーはヴェッティン家の国王が治めていたザクセン王国の街ライプツィヒ(統合前の旧東ドイツの街)で西暦1813年に生まれた。父親はお役人だったらしいけど、音楽好きの家庭だったそうな。そんなこともあり、10代の頃の彼はベートーヴェンに傾倒し、作曲も行っていたんだそうな。

旧東ドイツの街ライプツィヒのトーマス教会の祭壇

西暦1831年にはライプツィヒ大学の学生となっている。でも、他方ではライプツィヒの街のトーマス教会のカントール(音楽監督)から作曲を学んでいたそうな。街の教会の音楽監督といっても、ただの音楽監督じゃないよ。あのバッハもこの教会の音楽監督を務めていたという権威ある地位みたい。(上の画像はトーマス教会の祭壇。バッハもここで教会音楽の指揮をしていたんだろうね。)

ドレスデンのゼンパー・オペラの指揮者となったワーグナー

やがてワーグナーは大学を中退し、音楽家として活動に専念し始めた。交響曲やオペラの作曲をしたり、あちこちの楽団で指揮者をしたり ・・・ 。西暦1839年にはフランスの首都パリで作曲をしている。でも、その地でも認められることはなく、相変わらず貧しく、借金に苦しんでいたらしい。

西暦1841年、ワーグナーの出身国であるザクセン王国の首都ドレスデンにゼンパー・オペラが完成した。その翌年、ワーグナーがパリで作曲した「リエンツィ」の初演がゼンパー・オペラで行われ、しかも高い評価を受けたらしい。かくして西暦1843年にワーグナーはドレスデンのゼンパー・オペラの指揮者として招聘されたわけだ。

旧東ドイツの街ドレスデンのゼンパー・オペラ

そのドレスデンのゼンパー・オペラにおいては、指揮者であるワーグナーの様々な作品の初演が行われた。彼の代表作とされる「さまよえるオランダ人」や「タンホイザー」などの初演もここで行われている。(上の画像はドレスデンのゼンパー・オペラの様子。)

かくしてドレスデンにおいて作曲家・指揮者としてのワーグナーは、成功への道を歩んでいた。ところが、西暦1849年、三月革命において彼は革命運動に参加したらしい。しかし、革命は失敗に終わり、彼は国外への亡命を余儀なくされている。

ワーグナーとバイエルン王ルートヴィヒ2世

亡命者となったワーグナーは、スイス、イタリア、フランスなどを渡り歩いていた。その間も作曲活動は行っているし、音楽に関する論文も書いていた。既に作曲家として著名な存在となっていた彼には、各地に支援者がいたらしい。

そんなワーグナーを西暦1864年に呼び寄せたのが、バイエルン王ルートヴィヒ2世だった。王はワーグナーの熱烈なファンだった。ワーグナーは西暦1872年からバイロイト祝祭劇場の建設を始めるんだけど、王はその建設資金についても援助したらしい。

ドイツのバイエルンにあるホーエンシュヴァンガウ城

上の画像はルートヴィヒ2世が子供の頃に過ごしたホーエンシュヴァンガウ城なんだけど、後に王はノイシュヴァンシュタイン城(白鳥城)を築くことになる。王はワーグナーの作品「ローエングリン」の主人公である白鳥の騎士に憧れていたんだそうな。

ワーグナーが描いた中世の騎士の世界はルートヴィヒ2世の憧れの的だったんだけど、もう一つ二人に共通しているものがある。それは浪費と借金だった。ワーグナーはとんでもない浪費家であり、多額の借金を積み上げていた。他方でルートヴィヒ2世は城の建築などでバイエルン王国の財政を傾け、多額の国債の発行を行い、やがて廃位・幽閉されるに至る。

ワーグナー、ヴェネツィアで死す

その後もワーグナーはいくつもの作品を世に出している。西暦1872年には「ニベルングの指輪」、西暦1882年には「パルジファル」など。そして西暦1883年、イタリア北部の海の都ヴェネツィアを旅行中に亡くなっている。(下の画像はヴェネツィアの朝の風景。)

イタリアの海の都ヴェネツィアの朝の風景

ワーグナーは反ユダヤ的な思想を抱いていたとも言われる。だからか否か、ヒトラーはワーグナーを好んでおり、ナチスは彼の音楽を使うことが多かったんだそうな。逆にイスラエルではワーグナーは避けられているんだとか。

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