ヨーロッパの歴史風景 近代・現代編




西暦 2002年1月1日、ヨーロッパ EU の新しい通貨ユーロ EUR が流通し始めた。


ヨーロッパ連合 EU の新しい通貨 「ユーロ EUR」

1ユーロ・コイン(ヨーロッパ) 西暦2002年1月1日、ヨーロッパ EU の新しい通貨「ユーロ EUR」が流通し始めた。右の画像にあるのは、ピカピカの1ユーロ・コインの表側なんだ。

表側のデザインが全加盟国共通なのに対して、裏側は各国独自のデザインで発行されている。例えば、オランダの2ユーロ・コインの裏側には、ベアトリス女王の横顔が描かれている。

また、スペインの50セント・コインの裏側(下の画像)には「ドン・キホーテ」の作者セルヴァンテスの肖像が描かれているんだ。(ちなみに、スペインの首都マドリッドにあるスペイン広場には、このセルヴァンテスの像もあるし、ドン・キホーテやサンチョ・パンサの像もあるけどね。)

スペインで発行された新通貨ユーロの50セント・コインに描かれた「ドン・キホーテ」の作者セルヴァンテス

しかし、各国のデザインが許されているのはコインだけ。紙幣に関しては、ヨーロッパで共通のもののみが流通することになっている。もちろん、イギリスのようにユーロを導入していない国は別だけどね。

欧州連合の ( EU ) の開かれた窓

そして、下の画像にあるのは20ユーロ紙幣。その紙幣に描かれている窓は、欧州連合 ( EU ヨーロッパ連合) が開かれた組織であることを象徴しているらしい。

20ユーロ紙幣(ヨーロッパ)

どこかで見た窓のようだと思って、資料を調べてみた。が、何処の窓だか見つけることが出来ない。それもそのはずで、ここに描かれているのは架空の窓なんだって。ヨーロッパに共通する文化遺産を象徴するような架空の建物をデザインしているんだそうな。

ポンドを使い続けるイギリス

他方で、固有の通貨を使い続けるイギリスののポンド紙幣が下の画像。在位60周年の祝賀があったばかりのエリザベス女王が描かれている。

エリザベス女王が描かれたイギリスのポンド紙幣

私はイギリスの首都ロンドンに7年以上も住んでいたんだけど、イギリスがヨーロッパ連合の通貨ユーロを使わないことには納得できる面もあるね。イギリスはヨーロッパ連合に全面的に通貨を委ねることを好まないということもあるけど、ヨーロッパ連合の中心であるドイツについてもフランスについてもちょいと微妙な国民感情を持っているからね。

他方で興味深いことにイギリス北部のスコットランドは、独自の発券銀行による独自のポンド紙幣を持っている。もちろんロンドンの金融街シティにあるイングランド銀行によって発行されたポンド紙幣も通用するんだけど、エディンバラなどで買い物をするとスコットランド紙幣でお釣りをもらったりするんだ。そのスコットランド紙幣をロンドンなどのイングランドでも使うことも出来るんだけどね。

揺れるヨーロッパの通貨ユーロ

そんな頑固なイギリスとは別に、特に西暦2012年になって、ヨーロッパの通貨ユーロがマスコミに登場することが多くなったよね。ヨーロッパ連合の一部の国の財政危機、特にギリシャの財政危機によってギリシャがユーロを離脱するのではないかと懸念が強まっている。おかげでユーロ安が進んでいるわけだ。

そんなユーロを導入せずに独自のポンドを維持したイギリスは、自国の判断が正しかったと考えているのだろうか。いずれにせよ、ヨーロッパ連合の通貨ユーロが新たなバベルの塔とならないことを願いたいね。

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