ヨーロッパの歴史風景 先史・古代編




西暦270年、古代ローマ帝国で全世界回復者と称された皇帝アウレリアヌスが即位した。


ブルガリアのソフィアで生まれたアウレリアヌス(後の皇帝)

西暦214年あるいは215年に今のブルガリアの首都ソフィアでアウレリアヌスが生まれた。後に古代ローマ帝国の皇帝となる人物なんだけど、その生まれた年もはっきりしない程度の家柄の出身だった。

ブルガリアのソフィアに残る聖ゲオルギ教会

ちなみに、上の画像はそのソフィア市内にある聖ゲオルギ教会なんだ。オスマン・トルコの支配下ではモスクとして使われていたらしいけど、3世紀ないし4世紀に建てられた教会なんだそうな。アウレリアヌスが生まれた頃に既にここにあったかもしれないよね。

皇帝アウレリアヌスと古代ローマ帝国

さほど高くもない身分の家に生まれたアウレリアヌスは、若くして古代ローマ帝国の軍団に入り、目覚しい出世を遂げていった。特に騎兵部隊の指揮官として才能を発揮し、皇帝の側近ともなり、ゴート族などのゲルマン人との戦いに活躍したらしい。

そんな彼が古代ローマ帝国の皇帝アウレリアヌスとして即位したのは西暦270年のことだった。ゲルマン諸族の攻勢によって危機に瀕している古代ローマ帝国において、軍団が強い指揮官を望んだ結果としての皇帝アウレリアヌスの即位だった。

皇帝アウレリアヌスは直ちにイタリア北部でヴァンダル族を打ち破り、彼らを追撃してパンノニア(今のハンガリー)方面まで遠征していた。ところが、その隙をついてイタリアに侵入して来たのが、ゲルマン系のアレマン人だった。彼らは数十年前にカラカラ帝に敗れて以来、古代ローマ帝国に対して強い敵意を抱き続けていたらしい。

西暦271年、パンノニアから取って返した皇帝アウレリアヌスはアレマン人の待ち伏せによって敗れてしまった。でも、態勢を立て直し、最終的にはアレマン人を打ち破り、彼らをアルプスの北へ撤退させたらしい。

イタリアの首都ローマに残る古代ローマ帝国時代の皇帝アウレリアヌスの城壁

でも、古代ローマ帝国の防衛力には不安が残った。故に今もイタリアの首都ローマに残るアウレリアヌスの城壁(上の画像)を築いたというわけだ。ついでながら、19世紀のイタリア統一の最終局面では、イタリア王国の軍とローマ教皇の軍がこの城壁の前で戦火を交えている。

他方で、皇帝アウレリアヌスによってイタリアからアルプスの北に追いやられたゲルマン系アレマン人なんだけど、その後はライン川の西に向かって侵攻を繰り返している。そして5世紀初頭にはストラスブールを中心とするアルザス地方(今はフランス領)になだれ込んだんだそうな。

皇帝アウレリアヌスによるダキア放棄

その後、皇帝アウレリアヌスはバルカン半島でゲルマン系ゴート族などを打ち破っている。でも、彼はダキア(今のルーマニア)の古代ローマ帝国による領有を放棄したんだ。ゲルマン系諸族の動きが活発な状況で、領有を維持することは当時の古代ローマ帝国には難しいという判断だった。

ルーマニア山中にあるブラン城からの眺め

上の画像はそんなルーマニア山中の風景。ドラキュラのモデルとされる中世ワラキアの領主ヴラッド・ツェペシュにゆかりのブラン城から眺めた様子なんだ。

全世界回復者と称された皇帝アウレリアヌス

その後の皇帝アウレリアヌスは古代ローマ帝国の防衛を固め、更には奪われた領土の回復に努めている。西暦272年には地中海東部で女王ゼノビア支配下のパルミュラ王国を征服し、更にエジプト領有も回復している。

他方で西においては独立的な存在になっていたガリア帝国を滅亡させている。そんなわけで、皇帝アウレリアヌスによって古代ローマ帝国の統一が回復されたんだ。ローマの元老院は帰還した皇帝アウレリアヌスに「全世界回復者」との称号を送ったらしい。

そして西暦275年、ササン朝ペルシアに対して遠征を企画した皇帝アウレリアヌスは、小アジア(現トルコ領)へ向かう途中で部下によって殺害されてしまった。彼は部下の失敗に対して厳しかったらしいんだけど、ミスの発覚を怖れた部下が殺害したとも伝わっている。管理職の貴方、思い当たる節はないですかな。

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