ヨーロッパの歴史風景 中世編




西暦1498年、ポルトガル大航海時代の英雄ヴァスコ・ダ・ガマの艦隊がインドのカリカットに到達した。


ポルトガルの大航海時代ゆかりのジェロニモス修道院

ポルトガルの首都リスボンを訪れたならば、大航海時代ゆかりのベレンの塔や発見のモニュメントを見に行く人が多いよね。それらに負けず劣らず見逃せないのが、世界遺産ジェロニモス修道院(下の画像はその回廊の様子)かな。

ポルトガルの首都リスボンにあるジェロニモス修道院は大航海時代の名残り

このジェロニモス修道院は、大航海時代のポルトガル王マヌエル1世の時代に建立されたもの。香辛料などの貿易によってポルトガルにもたらされた富がこの修道院の建立の資金となったわけだ。

インドのカリカットに到達したヴァスコ・ダ・ガマ

そんなポルトガルの大航海時代ゆかりのジェロニモス修道院の中には、ヴァスコ・ダ・ガマのお墓(下の画像)がある。かつてのポルトガルを支えた香辛料貿易のパイオニアがこのヴァスコ・ダ・ガマだった。彼がここに葬られたのも当然かもしれないね。彼の冒険のおかげでこのジェロニモス修道院が建立できたとも言えるわけだからね。

ポルトガルの首都リスボンにあるジェロニモス修道院の中のヴァスコ・ダ・ガマのお墓

エンリケ航海王子の時代から、ポルトガルはアフリカ西岸を南下する航海を行ってきた。そして西暦1488年には、バーソロミュー・ディアスがアフリカ南端の喜望峰にまで到達したわけだ。

でも、西暦1492年にアンダルシア地方の街グラナダ世界遺産アルハンブラ宮殿で名高い街)のナスル朝を征服したスペインの支援を受け、大西洋を西に向かったコロンブスが新大陸アメリカを発見したことは、ポルトガルには衝撃だった。そのポルトガルの期待を背に西暦1497年にリスボンを出航したのが、ヴァスコ・ダ・ガマを司令官とする艦隊だった。

ヴァスコ・ダ・ガマの艦隊はその年の11月にはアフリカ南端の喜望峰を通過し、アフリカ東岸を北上。翌年春にはインド洋を東へと向かい、インドのカリカットに到達したのが西暦1498年5月だった。各地での戦闘、そして病気などで多くの人々が亡くなり、数ヵ月後にポルトガルに帰国したのは50名あまり。無事に帰国したのは、出航時の人員の3分の1ほどだった。

ヴァスコ・ダ・ガマの航海によってインド航路を発見したポルトガルは、香辛料の貿易によって莫大な利益を得ることとなった。大航海時代の最盛期のポルトガル王マヌエル1世は、ヴァスコ・ダ・ガマを貴族とし、巨額の報酬を与えて報いたんだそうな。

インドに向かう途中でブラジルを発見したカブラル

ヴァスコ・ダ・ガマによるインド航路発見から2年後の西暦1500年3月、ポルトガルは新たな艦隊をインドに向けて出航させた。ところが、大西洋を南下したその艦隊が発見したのがブラジルだった。

ユーロ切り替え前にポルトガルで発行されていた1000エスクード紙幣に描かれたブラジルの発見者カブラル

上の画像は、ヨーロッパの新しい通貨ユーロに切り替えられる前にポルトガルで発行されていた1000エスクード紙幣なんだけど、描かれているのがブラジルを発見したポルトガル艦隊の司令官カブラルなんだ。

インドにおけるカレーとの出会い

その後も大航海時代のポルトガルは香辛料貿易を維持・拡大するために、軍事力をもってインドを支配下に置いた。そんなインドに医者として滞在したのが、植物学者でもあったガルシア・デ・オルタだった。(下の画像は、ユーロ切り替え前のポルトガルの200エスクード・コインに描かれているガルシア・デ・オルタ。)

ユーロ切り替え前にポルトガルで発行されていた200エスクード・コインに描かれた植物学者ガルシア・デ・オルタ

この人物は西暦1563年にインドの薬草などに関する本を出版している。その本の中でカリールというインドの料理について書いている。それこそが私たちが大好きなカレーだね。大航海時代のポルトガル人はインドでカレーと出会っていたわけだ。

やがてインドはイギリスの支配下に入り、18世紀にはイギリスにカレーがもたらされ、そこでシチューの料理法と出会い、とろみのあるカレーになったんだそうな。そして19世紀の半ば、カレーは幕末の日本にやって来た。その日本で発明されたのが、今のカレー・ルーらしいよ。

次のページ



姉妹サイト ヨーロッパ三昧

ヨーロッパ三昧

このサイト「ヨーロッパの歴史風景」の本館が「ヨーロッパ三昧」です。イギリス・フランス・イタリア・スペイン・ギリシャ・トルコ・エジプト・ロシア・アゼルバイジャンなど25国45編の旅行記を掲載しています。こちらも遊びに行ってみてくださいね。

「ヨーロッパ三昧」のトップ・ページのURLは、 http://www.europe-z.com/ です。

Copyright (c) 2002-2011 Tadaaki Kikuyama
All rights reserved
管理・運営 あちこち三昧株式会社
このサイトの画像 及び 文章などの複写・転用はご遠慮ください。