ヨーロッパの歴史風景 近世編




西暦1633年、イタリア・バロックの彫刻家ベルニーニを育てた枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼが亡くなった。


イタリア・バロックの彫刻家ベルニーニ

イタリアを含むヨーロッパの多くの国々でお金がユーロに切り換えられて既に10年以上になるね。つまり、下の画像にある紙幣を持っている人は殆どいないということだろうな。

ユーロ切り換え前のイタリアの50000リラ紙幣に描かれていたバロックの彫刻家ベルニーニ

上の画像は、かつてイタリアで発行されていた50000リラ紙幣なんだけど、右側に描かれている人物はイタリア・バロックの彫刻家ジャン・ロレンツォ・ベルニーニなんだ。17世紀に彫刻家のみならず建築家としても活躍し、今のイタリアの首都ローマをバロックの都にした人物だね。

ベルニーニと枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼ

ジャン・ロレンツツォ・ベルニーニは西暦1598年にナポリで生まれた。その7年後の西暦1605年に両親に連れられてローマに移っている。その年、ボルゲーゼ家出身の教皇パウルス5世が即位。その教皇パウルス5世は甥のシピオーネ・ボルゲーゼを枢機卿に任じている。

ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの父で彫刻家だったピエトロ・ベルニーニは枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼから注文を受けて制作をしていた。そんな関係もあり、やがて息子のジャン・ロレンツォ・ベルニーニも枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼからの依頼によって彫刻を制作するようになったんだ。

枢機卿の依頼によって若いジャン・ロレンツォ・ベルニーニが制作した彫刻(「プロセルピーナの略奪」や「アポロとダフネ」など)は、ローマで評判になったそうな。それが後にイタリア・バロックの巨匠となっていくベルニーニの道を切り開いていったわけだ。

イタリアの首都ローマにあるボルゲーゼ美術館(ベルニーニやカラヴァッジョなどバロックの作品が多いことで名高い)

そして西暦1633年に枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼは亡くなった。でも、イタリア・バロックの巨匠ベルニーニを育てたとも言える彼の手許には、彫刻家ベルニーニの青年時代の代表作が残されていた。そんな作品を見ることが出来るのが、ローマ市内のボルゲーゼ公園の一画にあるボルゲーゼ美術館(上の画像)というわけだね。(ちなみに、ボルゲーゼ美術館ではベルニーニ以外にもカラヴァッジョなどの作品もある。)

ベルニーニとヴァティカンのサン・ピエトロ大聖堂

枢機卿シピオーネ・ボルゲーゼの注文によって制作した彫刻で評判を得たベルニーニに更に飛躍の機会が訪れたのは西暦1623年(彼が25歳の年)のことだった。ローマ教皇ウルバヌス8世の依頼により、ヴァティカンのサン・ピエトロ大聖堂の中にブロンズのバルダッキーノ(天蓋)を制作することになったんだ。

イタリアの首都ローマのヴァティカンにあるサン・ピエトロ大聖堂で見たブロンズのバルダッキーノ(天蓋)

上の画像がベルニーニによって西暦1633年に仕上げられたブロンズのバルダッキーノ(天蓋)なんだ。この天蓋は、ミケランジェロのクーポラ(円屋根)の真下にあり、初代ローマ教皇とされる聖ペテロ(サン・ピエトロ)の墓の真上にあると言われている。

ちなみに、ベルニーニにバルダッキーノ(天蓋)の制作を依頼したローマ教皇ウルバヌス8世なんだけど、西暦1626年にサン・ピエトロ大聖堂の献堂式を挙行した人物だそうな。他方、西暦1631年にはサン・マリノ共和国を独立国として承認した教皇でもあるらしい。

バロックの都ローマを飾るベルニーニの作品

その後もベルニーニは多くの作品を作り続け、ローマのあちこちで彼の作品を見ることが出来るんだ。例えば、下の画像は映画「ローマの休日」で名高いスペイン階段からスペイン広場を見下ろした眺めなんだけど、スペイン広場の中央にはベルニーニの彫刻「舟の噴水(バルカッチャの噴水)」が見えているね。

イタリアの首都ローマのスペイン階段の下にあるスペイン広場にはベルニーニの舟の噴水(バルカッチャの噴水)

他にも、ポポロ広場サンタ・マリア・デル・ポポロ教会の中にはベルニーニの彫刻ハバククとダニエルがある。サンタンジェロ城の前のサンタンジェロ橋にもベルニーニの天使像(レプリカだけど)がある。そしてサンピエトロ大聖堂の前の広場や列柱廊も彼の作品だね。ローマをじっくりと歩けば、もっともっと彼の作品を見ることが出来るんだ。

余談ながら、西暦2015年2月のことなんだけど、オランダのサッカーのチームがローマで対戦した。その際にオランダのサポーターたちが酔っ払って大騒ぎをした。その挙句に舟の噴水(バルカッチャの噴水)にビール瓶などを投げ込んで壊しちゃったそうな。前年の秋に修復したばかりだったのに。イタリアの文化相はお怒りらしいけど、そりゃごもっともだよね。

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