ヨーロッパの歴史風景 近世編




西暦1787年、イタリア南部の街ナポリに考古学博物館が設立された。


ナポリ王フェルディナンド4世と考古学博物館

西暦1759年、フェルディナンド4世がナポリ王となった。スペイン王カルロス3世として即位した父親から王位を継承したわけだ。でも、父親から継承したのはナポリ王位だけじゃなかった。膨大な数の美術品・芸術品・出土品なども継承している。そんなコレクションを一括して保存・展示する博物館とする為に16世紀に建てられたストゥディ館の改装を始めたのが西暦1787年のことだった。

イタリア南部カンパーニャ地方の街ナポリの国立考古学博物館の外観

フランス革命皇帝ナポレオンによる支配などもあり、博物館の改装は中断と再開を繰り返した。でも、西暦1816年には改装も完了し、上の画像の建物の中に「ナポリ王立ブルボン家博物館」が完成したわけだ。

ちなみに、当時のナポリ王はスペイン継承戦争によってスペイン王となったブルボン家のフェリペ5世(フランス王ルイ14世太陽王の孫)の家系から出ていた。故に博物館の名も「ブルボン家博物館」とされたんだ。

その後、西暦1861年に統一イタリア王国が成立し、ブルボン家はナポリの支配を失っている。というわけで、「ナポリ王立ブルボン家博物館」は今では「ナポリ国立考古学博物館」となっている。ローマにあるヴァティカン美術館・博物館ほどの規模はないけれども、このナポリ国立考古学博物館の展示品にはとっても興味深いものが多いよね。

ファルネーゼ家のコレクション

膨大な数の美術品・芸術品を引きついたナポリ王フェルディナンド4世の父親(ナポリ王としてはカルロ7世、スペイン王としてはカルロス3世)なんだけど、その母親はファルネーゼ家の出身だった。

ファルネーゼ家というのはローマ教皇を出したこともあり、パルマ公家でもあった。つまり歴史あるイタリアの貴族だよね。ナポリ王カルロ7世(スペイン王カルロス3世)は、そんな母親から多くの美術品を含むファルネーゼ家のコレクションを相続したわけだ。

イタリア南部カンパーニャ地方の街ナポリの国立考古学博物館にあるファルネーゼのヘラクレス

そんなファルネーゼ家のコレクションは今のナポリ国立考古学博物館の展示品の中核を占めるんだけど、その代表例が上の画像にあるファルネーゼのヘラクレスかな。このヘラクレス像は、古代ギリシャの彫刻家リュシッポスの作品を古代ローマ帝国時代に模刻したものらしいよ。

ナポリ国立考古学博物館にあるポンペイ出土のモザイク画など

他方で西暦1748年にはナポリ近くにあるポンペイ遺跡での発掘作業が始まった。西暦79年にヴェスヴィオ火山の噴火によって火山灰に埋もれたポンペイからは、古代ローマ帝国時代の遺物が出土した。それらの出土品もナポリ王のコレクションに加えられたわけだ。

イタリア南部カンパーニャ地方の街ナポリの国立考古学博物館にあるポンペイ出土のモザイク画

そんなポンペイの出土品の多くも今ではナポリ国立考古学博物館に展示されているんだけど、上の画像はそんなポンペイ出土のモザイク画の一例だったりする。

ナポリ国立考古学博物館に見るアレクサンダー大王のモザイク画

でもね、ナポリ国立考古学博物館にあるポンペイ出土のモザイク画の中で最高のお宝が下の画像だね。

イタリア南部カンパーニャ地方の街ナポリの国立考古学博物館にあるポンペイ出土のアレクサンダー大王のイッソスの戦いを描いたモザイク画

紀元前333年のイッソスの戦いにおけるアレクサンダー大王を描いたモザイク画だね。この博物館に入るならば、このモザイク画は見逃せないよね。

その他にもこのナポリ国立考古学博物館には様々な展示品がある。例えば、ハプスブルク家のスペイン王フェリペ2世皇帝カール5世の息子)を描いたコインとかね。というわけで、ナポリを訪れたならば、是非ともこの博物館に立ち寄って欲しいな。

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