ヨーロッパの歴史風景 先史・古代編




紀元前3000年頃、アイルランドにニューグレンジ遺跡が建設された。


渦巻きや菱形の模様が彫られた巨石

ちょいと下の画像を見て欲しいんだけど、巨石に渦巻きや菱形の模様が彫られているのがわかるかな。これはアイルランドにある世界遺産ニューグレンジ遺跡で見られる巨石の一つなんだ。

アイルランドにある世界遺産ニューグレンジ遺跡の巨石

これらの巨石に彫られたユニークな意匠は、後のケルト族の装飾などにも大きく影響したと考えられているんだそうな。

紀元前3000年頃に建設された世界遺産ニューグレンジ遺跡

この世界遺産ニューグレンジ遺跡(建設当時の人々にとっては「遺跡」ではないけどね・・・)は、紀元前3000年頃に建設されたと考えられている。エジプトのピラミッドよりもイギリスのストーン・ヘンジよりも古いわけだ。(但し、ゴゾ島ジュガンティーヤ遺跡マルタ島ハジャール・イム遺跡よりは新しい。)

アイルランドにある世界遺産ニューグレンジ遺跡

上の画像はニューグレンジ遺跡のある塚なんだけど、直径は80メートル近く、高さは12メートルあるらしい。その塚の地下には羨道が設けられていて、その奥には墓室と考えられる部屋があるらしい。

冬至の朝陽が差し込むニューグレンジ遺跡の奥

そんなニューグレンジ遺跡の羨道の入口が下の画像だ。但し、勝手に入ることは許されてはいない。20人から30人毎にスタッフに引率されて中に入ることになっている。しかも、残念ながら内部での撮影は禁止されている。

アイルランドにある世界遺産ニューグレンジ遺跡の羨道入口

ところで、上の画像に見える羨道の入口の上に窓のようなものがあるよね。冬至の朝、太陽の光がここから差し込み、羨道の奥の部屋まで届くんだそうな。

というわけで、このアイルランドの誇る世界遺産ニューグレンジ遺跡は天文学と関係のある施設だったのではないかとも考えられている。他方で、人骨が発掘されたとの話もあり、故に陵墓だったとの説もあるんだけどね。

ちなみに、このニューグレンジ遺跡アイルランドの首都ダブリンからは車で1時間ほどの距離にある。でも、ダブリン発着の日帰りバス・ツアーがいくつも出ていて、それに乗れば観光客でも気軽に行けるみたい。

アイルランドの中心だったタラの丘

上に書いた世界遺産ニューグレンジ遺跡の近くには、アイルランドの人々が大事にしているもう一つの遺跡 タラの丘がある。

アイルランドにあるタラの丘の立石

上の画像はそのタラの丘にある立石なんだけど、かつてケルト族の上王はここで即位を行ったとも伝えられているんだ。でも、このタラの丘には、ケルト族よりも更に古い紀元前3000年頃(つまりニューグレンジ遺跡と同じ頃)の遺跡も発掘されているらしい。ケルト族の渡来以前からアイルランドの重要な場所だったとも考えられている。

アイルランドの守護聖人ともされる聖パトリック(ダブリンの聖パトリック大聖堂などに名を残す)は、キリスト教の布教の為に西暦432年に渡来してきたとも言われている。彼が最初に教えを説いたのがこのタラの丘だったとする話もあるのは、ここがアイルランドの人々にとって大事な場所だったからなんだろうね。

ちなみに、ダブリン発着の日帰りバス・ツアーでニューグレンジ遺跡に行くならば、このタラの丘もセットになっていることが多いみたい。

ついでながら、これらの二つの遺跡の近くには、ボイン川の古戦場もある。名誉革命イギリスの首都ロンドンを追われたジェームズ2世フランス王ルイ14世の支援を得て、王位奪還の為に戦った場所だね。でも、あえなく敗れて王位奪還はならなかったんだけどね。

もう一つついでの話。先史・古代史が好きならば、アイルランドの西に浮かぶアラン島ドゥーン・エンガス遺跡も見逃せないね。古代ケルト人が築いた城砦 ・・・ かもしれない。

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