ヨーロッパの歴史風景 中世編




西暦1309年、教皇のアヴィニョン捕囚。教皇庁がアヴィニョン(現フランス領)に移された。


「アヴィニョンの橋で踊ろよ、踊ろよ」

「アヴィニョンの橋で踊ろよ、踊ろよ」という歌があるよね。この歌に登場するのが、フランス南部ローヌ川下流の街アヴィニョンにあるサン・ベネゼ橋(下の画像)なんだ。

アヴィニョン橋(フランス)

この橋が架けられたのは12世紀の後半のこと。でも、西暦1688年の洪水の際に一部を残して流されてしまったんだ。だから上の画像でも、橋の先端が途切れているでしょ。

ところで、上に書いた歌の話に戻る。歌詞の中に「坊さんも通る」という言葉があるんだ。これは橋を渡って教皇庁へ仕事に行く僧侶たちのことを歌っているらしい。

というのも、14世紀のことなんだけど、このアヴィニョンに教皇庁が置かれ、川向こうに枢機卿など高位の僧侶たちの宿舎が設けられていた時期があったんだ。(教皇庁というと、イタリアの首都ローマの一角を占めるヴァティカンが思い浮かぶんだけどね。)

アナーニ事件と教皇のアヴィニョン捕囚

西暦1294年に即位した教皇ボニファティウス8世は、国王を含む全ての人間が教皇に服従することを求めたんだ。もちろん、国王たちが教皇の求めに素直に従うはずもない。

西暦1303年9月7日、フランス王の顧問ギョーム・ド・ノガレたちがアナーニで教皇ボニファティウス8世を監禁し暴行するという「アナーニ事件」が起こった。やがて教皇は救出されたものの、数日後に亡くなってしまった。

アヴィニョン(現フランス領)に残る教皇宮殿 その後、西暦1305年に教皇に即位したのは、フランス人でボルドーの大司教だったクレメンス5世だった。新教皇はフランス王フィリップ4世の意向に従い、アヴィニョンの街に教皇庁を移したんだ。

その後、西暦1376年に教皇グレゴリウス11世が教皇庁をローマに戻すまで、この「教皇のアヴィニョン捕囚」は続いたわけだ。右の画像は、アヴィニョン(現フランス領)に残る教皇宮殿。「捕囚」とは言われるけれども、城砦の様な立派な宮殿を築いていたわけだ。

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教会大分裂(シスマ)

教皇庁をローマに戻したグレゴリウス11世が亡くなった後、西暦1378年に教皇に即位したのはウルバヌス6世だった。ところが、この人物が短気で枢機卿たちの嫌われ者だった。新教皇に反発したフランス人枢機卿たちは新たにクレメンス7世を教皇に選出したんだ。

もちろん、素直に引き下がるウルバヌス6世じゃない。結局、ウルバヌス6世はローマで踏ん張り、新たに選出された教皇クレメンス7世はアヴィニョンに腰をすえ、いわゆる「教会大分裂(シスマ)」が起こってしまったわけだ。

結局、西暦1417年に新しい教皇マルティヌス5世が選出されるまで教会大分裂(シスマ)は続き、その間に教皇の権威はガタ落ちになったのは言うまでもないよね。




アヴィニョンとフランス革命

もともとアヴィニョンの街はアンジュー家の所有するところだった。しかし、教皇のアヴィニョン捕囚の頃に、教皇庁がアンジュー家からアヴィニョンの街を買い取ったんだ。

その後、教皇庁がローマに戻ってからも、アヴィニョンの街は教皇庁の所有する土地だった。ところが、フランス革命の後、西暦1790年にフランスの革命政府がアヴィニョンの街をフランスに併合したわけだ。以後、アヴィニョンの街はフランス領になっている。(下の画像は、教皇宮殿から見たアヴィニョンの街の様子。)

現在のアヴィニョンの街の様子(フランス)



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