ヨーロッパの歴史風景 中世編




西暦1417年、神聖ローマ皇帝ジギスムントがロマ(ジプシー)に通行許可証を与え、ロマたちはヨーロッパ各地に移動した。


ロマ(ジプシー)に注意 !! と言われるけれど・・・

ヨーロッパを旅行するときには、ロマ(ジプシー)に注意 !! とよくいわれるよね。かくいう私もイタリアのミラノジプシーに襲われたことがある。幸いに被害はなかったんだけどね。

その他にもルーマニアブルガリアで、ロマにしつこくつきまとわれたこともある。その他にもイタリアの首都ローマなどの観光地では注意が必要だと言われているよね。

ハンガリー音楽はロマ抜きには語れない

でもね、ロマは個性的な音楽を育てた人々でもあるんだ。彼らは移り住んだ土地の特徴的な音楽を取り上げ、しかもその地域に典型的な楽器を使って、個性的な音楽を育んだんだ。

ハンガリーの首都ブダペストのレストランで見かけたヴァイオリニスト 例えば、典型的なのがハンガリーの音楽。ハンガリーでロムングレと呼ばれていたロマは、18世紀には優れた音楽家として評価され始め、19世紀にはハンガリー全土で流行の音楽ともなったんだ。

右の画像は現代のハンガリーの首都ブダペストのレストランでみかけたロマ楽団のヴァイオリニストなんだけど、とっても情感のこもった音楽を聞かせてくれたんだ。

ハンガリーを代表するロマ出身のヴァイオリニストとしては、1764年生まれのヤーノシュ・ビハリなる人物がいる。フランツ・リストにも絶賛されたヤーノシュ・ビハリは、ナポレオン戦争の後始末のためのウィーン会議にも呼ばれ、著名な政治家や君主達の前でも演奏したんだそうな。

ロマの流浪の旅はインドからかも・・・

そんなロマは何処から来て、どんな旅をしていたのか ?? 色々な説があるみたいなんだけど、代表的と思われる考えを書いておくね。

言語学的には彼らの言葉は、インドの言葉に近いんだそうな。そんなこんなを根拠にして、彼らは10世紀頃にインドの北西部を出発し、旅の暮らしを始めたと考えられている。

神聖ローマ皇帝ジギスムントの通行許可証

ペルシャやアルメニアを移動したロマは、11世紀頃にはトルコ付近にまで到達していた。更に14世紀には、ブルガリアルーマニアなどのバルカン諸国やハンガリーなどでもロマの姿が記録されている。

そして西暦1417年、ロマの一部の人々がルクセンブルク家出身の神聖ローマ皇帝ジギスムントの通行許可証を得たと伝えられている。

時にはエジプト人とも考えられたロマは、巡礼の旅をしていると思わせて、君候たちの保護を得ることができたみたいなんだ。たぶん、皇帝もロマを巡礼者だと考えたのかもしれないね。

ともかくも、本物か偽物かはわからないけれども、神聖ローマ帝国皇帝の通行許可証を得たロマたちは、15世紀にはドイツ・スイス・フランス・イタリア・スペインにまで行動範囲を広げていったんだ。

スペインでフラメンコを生み出したロマたち

スペインではヒターノと呼ばれたロマたちは、スペインの歌と踊りを演奏した。その演奏には、ロマならではの魅力が伴っていたわけだ。

そして19世紀、フラメンコと呼ばれる様式が登場し、ヨーロッパ各地のみならず全世界で人々を魅了しているわけだ。(下の画像はイギリスの首都ロンドンのスペイン料理のレストランで楽しませてくれたフラメンコ。)

イギリスの首都ロンドンのレストランで見たフラメンコ イギリスの首都ロンドンのレストランで見たフラメンコ イギリスの首都ロンドンのレストランで見たフラメンコ イギリスの首都ロンドンのレストランで見たフラメンコ

ついでながら、1750年頃にスペイン南部アンダルシア地方で生まれたロマの歌手ティオ・ルイス・エル・デ・ラ・フリアナという人物は、スペインでフラメンコ音楽を代表する歌手だったらしいよ。

そんなフラメンコ大好きの私の憧れが、スペインのギタリストで歌手だったパコ・デ・ルシアだった。でも、彼は西暦2014年2月に亡くなってしまったんだ。ロマの血を引く彼は、子供の頃からフラメンコ・ギターの演奏をしていたらしいよ。

次のページ



姉妹サイト ヨーロッパ三昧

ヨーロッパ三昧

このサイト「ヨーロッパの歴史風景」の本館が「ヨーロッパ三昧」です。イギリス・フランス・イタリア・スペイン・ギリシャ・トルコ・エジプト・ロシア・アゼルバイジャンなど25国45編の旅行記を掲載しています。こちらも遊びに行ってみてくださいね。

「ヨーロッパ三昧」のトップ・ページのURLは、 http://www.europe-z.com/ です。

Copyright (c) 2002-2014 Tadaaki Kikuyama
All rights reserved
管理・運営 あちこち三昧株式会社
このサイトの画像 及び 文章などの複写・転用はご遠慮ください。