ヨーロッパの歴史風景 近世編




西暦1669年、旧約聖書の箱舟で有名なノアは中国人だった ??


ヨーロッパ人の歴史観と旧約聖書

古代ローマ帝国時代の3世紀から4世紀にかけて、エウセビオスやアウグスティヌスなどのキリスト教思想家たちは、旧約聖書に基づいて人類の歴史を理解しようとしていたんだ。

例えばエウセビオスはアダムとイヴが神さまによって創造されたのは紀元前5201年であり、そこから人類の歴史が始まったと考えた。他方で、アウグスティヌスはそれを紀元前5351年と考えた。但し、「紀元前」という捉え方が出てくるのはまだ先のことなんだけどね。(下の画像はイタリアの首都ローマヴァティカンにあるシスティーナ礼拝堂でみるミケランジェロによる「アダムの創造」。)

ヴァティカンのシスティナ礼拝堂にあるミケランジェロの「アダムの創造」(ローマ、イタリア)

【参考】都市別ツアー検索


【参考】都市別ホテル検索


旧約聖書に基づく歴史理解の問題点

ところが、アウグスティヌスのページにも書いたけど、旧約聖書に基づいた歴史理解には、問題があったんだ。例えば、古代エジプトなどの歴史は、神さまによるアダムとイヴの創造よりも、あるいはノアの箱舟で有名な大洪水よりも過去に遡るんじゃないかという疑問。(下の画像はイタリアの首都ローマヴァティカンにあるシスティーナ礼拝堂でみるミケランジェロによる「大洪水」。)

ヴァティカンのシスティナ礼拝堂にあるミケランジェロの「大洪水」(ローマ、イタリア) ヴァティカンのシスティナ礼拝堂にあるミケランジェロの「大洪水」(ローマ、イタリア) ヴァティカンのシスティナ礼拝堂にあるミケランジェロの「大洪水」(ローマ、イタリア) ヴァティカンのシスティナ礼拝堂にあるミケランジェロの「大洪水」(ローマ、イタリア)




旧約聖書に基づく歴史と古代中国の歴史

ところが、16紀になって旧約聖書に基づく歴史理解にもうひとつの重大な問題が加わった。そのきっかけを作ったのが、宣教師ファン・ゴンザレス・デ・メンドーザによる「シナ大王国誌」の発表だった。

その書物によれば、古代中国初期の禹王の統治は紀元前2700年代ということになるらしい。ところが、当時のローマ・カトリック教会が採用していたヘブライ語旧約聖書に基づく歴史では、ノアの箱舟で有名な大洪水は紀元前2350年頃ということになっていたんだ。

大洪水によってノアの一族8人だけが生き残ったはずなのに、中国にはそれ以前からの文明が栄え続けていちゃ困るというわけだ。(下の画像は、香港で見かけた中国寺院の内部。)

香港で見かけた中国寺院の内部

【参考】都市別ツアー検索


【参考】都市別ホテル検索


西暦1658年には、イエズス会士マルティノ・マルティニによる「中国古代史」なる書物が出版されているんだけど、これによれば中国古代の三皇五帝の統治は紀元前3000年頃にまで遡ることになってしまう。しかも、その後の中国には夏・殷・周などの王朝が繁栄しているとある。こうなれば、ヘブライ語の旧約聖書に基づく人類の歴史は成立しえなくなってしまうんだ。

箱舟で有名なノアは中国人だった ??

この問題を解決するために、色々な人が様々な解釈を発表したんだけど、その極めつけが西暦1669年に発表されたイギリス人ジョン・ウェッブの説だろうね。

彼によれば、ノアの一族は中国に住んでいて、箱舟も中国で作ったというんだ。しかも、中国語はノアたちの言葉の名残りをも残していると彼は主張している。

18世紀になっても、この問題に関する議論は続いたんだ。人類の祖先アダムは中国古代の伏羲である、ノアは中国古代の黄帝である、いや神農である・・・とかね。古代中国の偉大さがキリスト教ヨーロッパの歴史を圧倒しちゃったということなのかな。

次のページ



関連書籍

参考になる・・・かもしれない本を探してみました。



関連リンク

旅行記 「食べ歩きの香港 − 入門編」



姉妹サイト ヨーロッパ三昧 (旅・食・花)

ヨーロッパ三昧

イギリス・フランス・イタリア・スペイン・ギリシャ・トルコ・エジプトなどヨーロッパと香港の旅行記 25カ国42編を中心とするサイト「ヨーロッパ三昧」。

20カ国100店のレストランを紹介するコーナーや、ロンドンに住んでいた頃のガーデニング日記、日本国内を旅する四季の日本のコーナーなどもあります。


「ヨーロッパ三昧」のトップ・ページのURLは、 http://www.europe-z.com/ です。

姉妹サイト イタリア三昧+マルタ

イタリア三昧+マルタ

イタリアの旅行記5編とマルタの旅行記2編から構成される旅行記集です。画像の数も増え、大きさ・画質も改善して、本館「ヨーロッパ三昧」から独立しました。

「イタリア三昧+マルタ」のトップ・ページのURLは、 http://www.italy-malta-z.com/ です。

Copyright (c) 2003 Tadaaki Kikuyama
All rights reserved
このサイトの画像 及び 文章などの複写・転用はご遠慮ください。