ヨーロッパの歴史風景 先史・古代編




西暦450年、悲劇の西ローマ帝国皇女ガラ・プラキディアが亡くなった。


皇女ガラ・プラキディアの死

西暦450年11月27日、古代ローマ帝国の皇帝テオドシウスの娘として生まれたガラ・プラキディアがローマで亡くなった。(ガッラ・プラチディアとする資料もあるけど、その名は現代イタリア語での名前なんだって。)

皇女ガラ・プラキディアの廟(ラヴェンナ、イタリア) 彼女の廟とされている建物(右の画像)が、イタリアの街ラヴェンナに残されている。

但し、実際にはガラ・プラキディアの亡骸は、右の廟ではなく、ローマのサン・ピエトロ大聖堂付属のロトンダに葬られたらしい。

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西ローマ帝国の悲劇を象徴する皇女

古代ローマ皇女ガラ・プラキディアは、やがて滅亡する西ローマ帝国の悲劇を象徴するような女性だった。

彼女が生まれたのは西暦390年頃。父親は古代ローマ帝国皇帝テオドシウスだった。西暦395年にはテオドシウス帝が死去。東ローマ帝国はテオドシウスの長子アルカディウスに与えられ、西ローマ帝国は次子ホノリウスに与えられた。いずれもガラ・プラキディアの異母兄だった。

西暦410年、西ゴート族がイタリアの首都ローマを攻略し、三日間にわたって略奪を働いた。その時、都ラヴェンナを離れてローマに滞在していたガラ・プラキディアは、西ゴート族によって拉致されてしまった。

その後、皇女ガラ・プラキディアは、西ゴート王アラリックの弟アタウルフと恋に落ちた。西暦415年、皇女ガラ・プラキディアと西ゴート族のアタウルフが結婚。既にアラリック王が他界していたため、アタウルフは西ゴート王になっていた。

やがて二人の間に王子が誕生し、ガラ・プラキディアの父にちなんでテオドシウスと名づけられた。ところが、ローマ皇帝になる資格さえ持つ王子テオドシウスは、幼くして亡くなってしまったんだ。

その後を追うように夫アタウルフも他界し、皇女プラキディアは西ローマ帝国に送り返されてしまった。

彼女の異母兄にして西ローマ皇帝でもあるホノリウスは、ガラ・プラキディアを腹心の部下コンスタンティウスと結婚させた。彼女は後に皇帝ヴァレンティニアヌス3世となる息子を出産。しかし、彼女は再び夫を亡くしてしまった。

西暦423年、ガラ・プラキディアは甥にあたる東ローマ皇帝テオドシウス2世を頼り、コンスタンティノープルに渡った。

西暦424年、異母兄である西ローマ皇帝ホノリウス死去。東ローマ皇帝の支援を得たガラ・プラキディアは、西暦425年に息子ヴァレンティニアヌス3世を西帝位につけることに成功。

その後の彼女は信仰の生活に明け暮れ、やがて西暦450年に亡くなった。西暦455年には彼女の息子ヴァレンティニアヌス3世が暗殺された。そして西暦476年、西ローマ帝国滅亡。




ガラ・プラキディア廟に見る 5世紀のモザイク画

再び話をラヴェンナにあるガラ・プラキディア廟に戻そう。薄いアラバスター(雪花石膏)を通して日の光が射し込む廟の内部には、晩年のガラ・プラキディアがすごした信仰の生活にふさわしいモザイク画が残されている。

皇女ガラ・プラキディアの廟にあるモザイク画「水盤から水を飲む鳩」(ラヴェンナ、イタリア) 右の画像にあるのは、「水盤から水を飲む鳩」。鳩は魂を象徴する。そして、水は癒しと平和。つまり、このモザイク画が示しているのは、永遠の命の水で魂の渇きを癒すこと。

下の画像に写っているのは、私の好きなモザイク画「良き羊飼いの図」。次第に死を教義の中心にしていくキリスト教だけど、この5世紀のモザイク画に描かれているキリストは暖かいよね。地上に生きるものたちを導くキリストに見える。

皇女ガラ・プラキディアの廟にあるモザイク画「良き羊飼いの図」(ラヴェンナ、イタリア)

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